戦略的価値と財務的価値

CVCは戦略的価値と財務的価値のどちらを目指すべきか。これはCVCの古典的な命題の一つです。CVCは事業会社の一部ですから戦略的価値を求めるのは外せない、一方で投資に関わる仕事なので財務的価値も考えなければならない。こうした戦略的価値と財務的価値のバランスをどのように考えたらいいでしょうか。CVCによって考え方は違うでしょうし、単一のCVCでも年度が変わると方針が変わることもありえます。これら2つが共存できる場合もあれば相反することもあり、回答は一筋縄ではいかないようです。

戦略的価値とは何か。直接的でわかりやすいのは「定量的なもの」でしょう。投資したスタートアップ企業と協業によって売上や利益をこれだけ上げました、というようにお金で換算しやすいものが戦略的価値のわかりやすい例と言えるでしょう。しかし、CVCが投資する対象のスタートアップの多くは発展途上にあることが多く、売上や利益といった形で株主が取り込むにはまだ未成熟なことも多そうです。定量的な議論に無理があるとしたら、それに代わるものとしてどのような戦略的な意味を考えたらいいでしょうか。CVCの多くが悩む問題ではないでしょうか。

一方の財務的価値ですが、直接的には投資した会社のIPOやM&Aなどを通じて投資資産を売却して得た回収額がそれにあたります。しかし、IPOやM&AといったEXIT(投資出口)を実現できるケースは多くはないのが実情で、CVCが投資した会社の中には、予定どおりには成長せずに鳴かず飛ばずのままになってしまうケースが見受けられるのが常。そうした未成熟の会社の株式を会計的にどのように評価するかは大きな課題になりそうです。

戦略的価値とは何か、財務的価値をどのように評価するか、これらのバランスをどう考えるべきか。いずれも答えは一筋縄ではいかないうえ、事業会社様の現状や戦略によって大きく変わるものでしょう。弊社ビズファクトリーは皆様のそんな悩みを一緒に考えて参ります。