追加投資をどう考えるか

今回は追加投資の話です。
スタートアップ投資は、投資してから「長いおつきあい」が始まります。スタートアップへの投資を始めてから実感することの一つでしょう。スタートアップに投資する時はだいたいドタバタといろいろなことが起きるもので、それをこなすのも一仕事になるわけですが、そうしたドタバタを乗り切って投資が完了すると、株主としてその会社と何年にも及ぶ長いおつきあいがはじまります。投資というのは実はスタートラインに立ったにすぎず、本当の仕事はそれから始まるとも言えます。長いおつきあいの中で、スタートアップが順調に成長することもあれば、そうでないこともあります。協業がうまく行くこともあれば、そうでもないこともあるでしょう。CVCとして何かしら成果につながるものが見えてこないと、何のために投資したのかわかりません。この長丁場をいかに成功につなげるかが実は一番大切なこととも言えます。

追加投資ラウンドは、こうした長丁場の中でちょくちょく起きるもので、前向きな資金を調達することもあれば、会社を存続させるためといったプロテクティブな資金調達になることもあり、その性格はまちまちです。こうした追加投資への参加の是非をどのように考えたらいいでしょうか。

これまでのエントリーでもしばしば触れたように、CVCによるスタートアップ投資には戦略的な意味と財務的な意味があり、CVC投資はこれら2つのバランスを見ながらなされるものです。追加投資においても基本はこうした戦略と財務のバランスの中で決めていくことになるでしょう。ただ、追加投資は初回投資の時から時間が経つことで、いろいろと状況が変わってくるのでやっかいです。スタートアップ側の状況が変わることもあるでしょうし(順調か否かなど)、CVCや事業会社側の状況が変わることもあるでしょう(事業戦略の変化や人の異動など)。戦略的に意味があれば、財務的な見込みが低くても参加すべきでしょうか。実際こういう例を目にすることも少なくありませんが、果たしてそれでいいのでしょうか。戦略的に意味がなければ、財務が良くても参加を辞退すべきでしょうか。これもしばしば目にするケースですが、参加するケースもあります。スタートアップはそれぞれが個性的な存在であるため、単純な回答は存在しません。しっかり整理しておかないと、場当たり的な判断になってしまうかもしれません。

また、レピュテーション(自社の評判)を考慮した方がいい場合もあります。スタートアップ投資を生業にしている投資家達は、他の投資家の振る舞いを注意深く見ているもので、誰が追加投資に参加したか、参加しなかったかをよく覚えています。苦しい局面では、誰もが追加資金を出しづらいもので、辞退することを恥じることは一切ありませんし、無理してまで投資してくれとは誰も思っていませんが、一方で苦しい局面でそのスタートアップを支えようという姿勢の投資家は、同じ考え方の投資家の共感を呼びやすくなるでしょう。「あなたとは今後も一緒にやっていきたい」からと、その共同投資家から他の投資機会を紹介されることもあるでしょう。レピュテーションのために投資をするわけではありませんが、日頃の投資行動がレピュテーションに影響してくると言えるでしょう。

このように、追加投資は基本的に戦略性や財務性を踏まえて決めるべきものですが、悩ましいことが多いものです。弊社ビズファクトリーでは、追加投資にどのように望むべきかといったCVCの運営にまつわる諸問題を一緒に考えて参ります。