戦略的価値を目指すには

CVCは戦略的な価値を追求すべきものである。全くもってそのとおり。
しかし、実際にCVCが戦略的な価値を追求しようとすると、大きな問題に気付くのではないか。既存事業に近い分野は、その分野のプロである事業部門が直接やれば済むのでCVCの出番はなく、逆に既存事業から遠い分野になると事業部門の協力を得るのはしんどくなる。事業部門がだめなら代わりに新規事業部門と連携しようという手もあるが、新規事業部門にしてもそれなりの成果を求められるため、CVCからの依頼を何でも受けられるわけではない。

協業を中心に考えるのではなく、CVC投資を通じて将来のM&A候補を探すのを旨とする考え方もあるだろう。「投資&買収モデル」とでも呼ぼうか。目先の協業はともかく、まずは投資から始め、その後、投資先企業がいい感じに成長してくれば買収するというようなストーリーを描けるかも知れない。貴重な買収の機会を得るという意味で、これはこれで戦略的な価値の一つと言えなくもない。しかし、こうした投資&買収モデルも簡単ではなさそうだ。その会社が成長著しい分野(例えばAI関連等)の会社であれば、買収価格は吊り上がってしまう可能性が高く、しかも成長を続けるために先行投資としてのキャッシュアウトが続き損益も赤字であることが少なくない。買収したとたんに「のれんの減損」が大きくのしかかる可能性もあるだろう。では、「成長著しくはない分野」の会社ならいいかというと、そもそもそうした分野の会社を買収すべきなのかという議論がありそうだ。

このように、自社の既存事業との関わりを考えたとき、戦略的価値を追求するというのは簡単ではない。そうした状況の中で、果たして、CVCはどのように行動したらいいのであろうか。
自社にとっての戦略的価値とは何か、事業部門や新規事業部門との役割分担をどのように考えるか、それ以外にどんな手があるか、整理すべきことは多いであろう。

弊社ビズファクトリーはそんな皆様の課題解決をお手伝いします。