共創に向けて
CVCによる投資や共創を円滑に進めるには、社内関係者だけではなく、スタートアップ企業や業界関係者といった社外の人々とも良好な関係を築くことも重要です。しかし、CVCに配属になった担当者の中には、社外の人々とどうかかわるべきか、慣れない中で少なからず戸惑いもあるようです。
社外の人々との関係あってこその共創ですから、ぜひ前向きに取り組んでいきましょう。
エコシステム内での評判
オープンイノベーションでは、投資や共創の相手であるスタートアップ企業への配慮が欠かせません。新しい事業をスムーズに立ち上げるため、誰でも「より成功につながりやすい相手と組みたい」と考えるもの。CVCや事業会社の側がそうであるように、スタートアップ企業の側も同じように考えるもので、CVCから投資を受けたり事業会社と協業を進めたりする前に、そのCVCや事業会社の評判を確認しながら進めていくのが常です。それぞれのCVCや事業会社が、スタートアップのエコシステムを構成する業界関係者にどのようにとらえられているかが問われます。
評判を高めるのは一朝一夕にできることではありません。オープンイノベーションに取り組む事業会社は、常日頃からスタートアップ企業の人々やエコシステムを構成する人たちと良好な関係を築くことを心掛けていきたいものです。
評判を高めるもの
- オープンである: 良いことも悪いことも正直に共有し、ともに解決策を探ろうとする
- 前向きである: 常に積極的に目の前の課題を解決していこうとする
- フェアである: 交渉や対話の場面で言動がフェアである
- 持続的である: 景気が良くても悪くても変わらずサポートを続ける
- 実績がある: 投資や協業において実績がある

CVCとしての存在感
スタートアップ企業が投資や協業を検討するときは、候補となるCVCや事業会社をしらみつぶしに探して決めるほど時間の余裕がないことが多く、「会ったことがある」「信頼している人から聞いた」といった、ちょっとしたことがきっかけで対話が始め、それを足掛かりにどんどん前に進んでいきます。
CVCの活動は、スタートアップ企業が必要とするときに、「そこ」にいなければ始まらない。ビジネスというものは概ねそういうものですが、スタートアップ投資においてもその傾向は極めて強いものです。
CVCを円滑に運営していくため、自身の存在感をいかに醸し出すかに配慮していくことが求められるでしょう。
存在感を高めるもの
- スタートアップ企業にすぐに会える距離にいる
- スタートアップ企業や業界関係者にどんどん会う
- スタートアップ企業や業界関係者が集まる場に積極的に顔を出す
- 人脈を作る(人事異動は慎重に)
- 簡単に撤退しない

